建築についての知識:物件に関する知識 - 住宅購入ABC|マンション、一戸建ての購入に関するお役立ち情報

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住まいにおけるデザインと技術

「ディテール(Detail)」とは建築・美術用語で本来、装飾や描写の「細部」を意味しますが、目にはみえない技術的な部分にも使われます。
実は、住まいを含むすべての建物はこのディテールの上に成り立っています。
ディテールのちょっとした差でデザインや性能の善し悪しが左右されるといっても過言ではないでしょう。

住まいのディテールには、デザインと技術の2つの面

住まいのディテールには、デザインと技術の2つの面があります。

デザイン面とは、その建築物の特徴を表す装飾・様式やかたちを表現するディテールです。
たとえば、三角屋根に装飾を加えれば、極端ですが和風にも洋風にもなります。
室内の材料に装飾や凹凸などの変化を加えれば、同じ空間でありながら豪華にも、モダンにも、ナチュラルにもなります。

一方、技術面とは機能・構造の決め手となるディテールです。
住まいの性能、すなわち防水性や断熱性、防音性、耐久性などの良し悪しはこれで決まると言って良いでしょう。

ディテールはこのデザインと技術という2つの面で、バランスをとりながら成り立っているのです。

ディテールを検討すると言うことは、料理にたとえると、料理人が基本レシピに対して隠し味やデコレーションをどうするのか、お客さんの好みや体調はどうかなど、自分の持てる知識と経験をフル活用して料理の構想を練り上げるのと似ています。

一度家を建てれば、建て主自身も家族も半生もしくは一生、そこで暮らすことになり、10の家族があれば10の暮らし方があるのです。

建築家としては、住まいは工業製品のように大量生産をするわけにはいかないので、一軒一軒からすべて違うものを求められます。
だからこそ、ディテールの検討を怠れません。
常識ある建築家はディテールを大切にし、十二分に検討します。

建築家はデザイナー

建築家とはいったいどんな人なのでしょう?
みなさんは、建築家という職業にどんなイメージをお持ちですか?

たいていの人は、「建物を設計する技術を持っている人」と思われるのではないでしょうか。
もちろん、間違いではないのですが、建築家を技術屋であると認識している人は非常に多いと言えそうです。

美しい家具もデザイン

しかし、ガウディ、アアルト、コルビュジエ・・。古今東西、名高い建築家の多くはたくさんの美しい家具もデザインしています。
そして、それは当然の行為なのです。
なぜなら、建築家は住空間をつくる“デザイナー”だから、です。
住空間を構成するひとつの要素として、建築から始まって家具をデザインすることは自然なことなのです。

日本のいくつかの美術大学の中には建築学科があります。
このことからも、建築家という仕事がデザイナーとしての側面が非常に強いということがうかがえます。

では、一級建築士と建築家はどう違うのでしょう。

建築家は建築設計(デザイン)する仕事

簡単に説明しますと、一級建築士は建築を設計・申請する資格のこと、建築家は建築設計(デザイン)する仕事をしている人、になります。

もちろん一級建築士の資格を持っている人で、建築家として活躍している人もいます。
逆に言うと建築家の中には一級建築士の資格を持っていない人もいるということです。
事務所内に資格を持っている人がいれば、その人の名前で役所に建築申請はできますので、みなさんがご存じの超有名建築家の中にも一級建築士の資格を持っていない人は何人もいるのです。

理想の“建築家”としては、いいデザインをしてくれて、さらに技術のこともよく知っている人、ということになります。
一級建築士を持っている人だけが建築家ではないということ、また、建築家は住空間をつくる“デザイナー”であるということを理解のうえ、建築家との家づくりを検討しましょう。

建築家と建築

世界のガウディとサグラダ・ファミリア教会

スペインのバルセロナにあるアパート「カサ・ミラ(ミラの家)」は、世界的に有名な建築家であるアントニオ=ガウディ(1852-1926)が設計したものです。
六階建ての集合住宅で、現在は一階と中二階が店舗と事務所になっています。
一つとして同じ形の窓はなく、建物全体がくにゃりとした灰色の曲線でできています。
思わず目をそらしたくなるようなグロテスクな外観ですが、よく見ると、石という無機質な素材を使っていながら、有機的・生物的な存在感を表現したガウディの才能に、あらためて胸を打たれることでしょう。

サグラダ・ファミリア教会

ガウディといえば、サグラダ・ファミリア教会を建築したことで有名です。
誰でもきっと一度は、灰色の恐竜のようなあの巨大建築を見たことがあると思いますが、実はこの教会はまだ建築途中なのです。
現在出来上がっているのは外壁と、生誕(東面)と受難(西面)の二つのファサード、そして8本の尖塔だけです。

ガウディが市街電車にはねられて死んでから70年以上の年月が経っていますが、この教会の完成まではあと100年か200年はかかると言われています。
なぜなら人々の浄財のみで建設されているので、工事がしばしば中断されているからです。

これだけの巨大建築の設計を担当しながら、ガウディは設計図というものを作りませんでした。
彼の意志を受け継いだ優秀な職人たちが、今も活躍しているのです。
あなたもぜひ一度、ガウディの建造物を訪ねてみませんか。実際に目の当たりにしてみると、思いがけない発見と感動があるかもしれません。

安藤忠雄と世界建築

元キックボクサー、独学で建築を学び、世界各地の著名建築を手がけた高卒の東大教授。
過去にイェール/コロンビア/ハーバード各大学客員教授を歴任し、1995年には建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」を受賞。
まさに異色の経歴を持った世界的な建築家・安藤忠雄氏(1941~)は、実際の建築設計においても特異な才能を発揮してきました。

彼の代表的建築のひとつは、大阪府茨木市にある、通称「光の教会」(1989)です。
打ちっ放しのコンクリートに覆われた小さな教会ですが、一歩足を踏み入れると、十字に切り取った壁面から外光が差し、文字通り「光り輝く十字架」が、見る者を思わず敬虔な気持ちにさせます。

打ちっ放しのコンクリートは、安藤氏が多用する手法

打ちっ放しのコンクリートは、安藤氏が多用する手法です。
彼はその理由をこう語ります。
「建築とは、その時代の材料を使って作るもの。
コンクリートは20世紀の材料。
もうひとつは肌合い。
突き放すように冷たく強い素材で、包み込むような優しい空間をいかに作れるか。
そういう材料を使うことによって、まず住む人が考える。
『どうかなあ、これ』と。
その、考える場を作ることが建築だと思う」

多発テロで崩落したニューヨーク世界貿易センター跡地利用をめぐり、米国建築界で議論百出する中、安藤氏は「地球の一部をイメージした緑の“円墳”」というユニークな案をまとめました。
経済社会の象徴を復刻するのではなく、犠牲者の追悼とともに人類共存を訴えたいという意図が感じられます。
「高層ビル街にこれだけの“無”の空間があれば、もう一度、人々に何かを考えさせる場になるのではないか」と語る通り、時代の推移とともに手法は変化しても「住む人・利用する人に考えさせる建築」が、安藤氏の基本理念であることに変わりはないのです。

建築家を探すには

家づくりのベストパートナーとなる建築家はどうやって探せばいいのでしょうか?

知人の紹介

一つの方法としては、紹介というのがあります。
これは、自分と直接コネクションがなくても、身内や近所の人、知人、友人など身近な人の中で建築家に依頼して家を建てた人がいて、なおかつその家の雰囲気が気に入っている場合に活用したい方法です。

この方法は、知人を介しているため信頼できるというメリットがあります。
その人の仕事ぶりを身近な人が見てきているため、家づくりの流れや生の情報を聴くことができ、施主としての心構えもしやすいと思います。
一方で人間関係がからむゆえに、声をかけたら断りにくいというデメリットはあるかもしれません。
しかし、そのあたりは、事前に家を建てた人から情報収集をして判断しておけばよいでしょう。

少し前までは、こうした紹介による設計依頼が大半であったという話も聞きます。
その他、建築家が所属する協会などに問い合わせてみる方法もありますが、センスや設計料といった詳しい情報を知るには適切でないかもしれません。

実用的なのは、住宅雑誌
住宅雑誌

建築家探しで最も実用的なのは、住宅雑誌です。
これらには、建築家が設計した住宅が数多くの写真とともに紹介されているケースが多く、建築家は有名な人から手堅くいい家をつくっている人までさまざまです。

施主とどんなやりとりをしたかについて、家づくりの経緯、価格、設備や仕様などについても詳しく載っているので、かなり参考になるはずです。
建築家の連絡先やプロフィールも詳しく載っています。

インターネット

インターネットから家づくりの情報を入手するケースも多くなりました。

ただ、家は数千万円もする高価な買い物です。
インターネットに限ったことではありませんが、メディアは情報収集の入口であり、そこからは自分で危機管理をし、自己責任で判断を下すと心得ておきたいものです。

それを踏まえた上で、インターネットで建築家探しをしてみると、非常に選択の幅が広がります。
建築家で自分のホームページを開設している人もかなりいますし、複数の建築家に自宅の設計案を低コストで出してもらうコンペ形式をとっているサイトもあります。

このように多くの情報からピッタリの建築家を探す…なかなか難しいことではありますが、まずは自分の建てたい家のイメージをしっかり持つこと、これが1番の早道なのではないでしょうか。

参考:住宅市場動向調査(建築業者を見つけた方法)

(国土交通省:平成18年度 住宅市場動向調査 平成19年6月21日発表)
https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/07/070621_.html