子どもと暮らす住まい - ライフスタイル|様々な暮らしの形に関するお役立ち情報

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子どもと暮らす住まい

子どものための空間

子どもと暮らす住まい

子ども部屋を与える時期

「家」は家族の生活の拠点でもあり、憩いの場です。
2人暮らしのときは、1LDKでも充分な広さですが、子どもが産まれて家族が増えると、育てるための空間が必要になります。
それは、決して子ども専用の部屋を与えるということではありません。

子ども部屋は、子どもの自立心が芽生える小学校高学年あたりから与えるのが、一般的によいタイミングといわれています。
それまでは、家族みんなと過ごす楽しさを分かち合いたいものです。

子ども部屋と住まいづくり

子ども部屋を与える時期

「高い天井のある家は子どもをのびやかに育てる」といわれるように、子どもの頃に過ごした空間は、その後の感情やものの見方、考え方に大きく影響してきます。
しかし、子ども部屋が子どもを育てるのではなく、住まい全体が子どもを育て家族も育てるのです。
家づくりを検討したり、住まいの購入を予定している人は、広い視野で子ども部屋を考えることが大切になってきます。
賃貸住宅に住んでいる場合も同様に、子ども部屋=空間ととらえて工夫を重ねていきましょう。

家庭観をしっかりと

価値観は千差万別です。
家族、家庭における「部屋」の考え方もそれぞれでしょう。
子どもの育て方に対する考えもそれぞれですから、一概に「こうするべき」という解答があるわけではないのです。
基本となるのはその家の暮らし方や家庭観です。

憧れやイメージだけで考えるのではなく、今、どんな生活をしているかということ、今後どんな生活をしていくと予想されるのか、などを念頭に考えて、家庭と住まいのいい関係を築き上げていきたいですね。

子どもの健康と安全を考える

シックハウス対策

最近問題になっているシックハウス症候群は、住宅に使われる建材から放出される毒素や有害物質が原因となり、アレルギーや中毒などの症状を引き起こすものです。
特に子どもは体も小さいうえ、免疫力や抵抗力も低いので注意が必要です。
家族の中に化学物質敏感症やアレルギーの人がいる場合には、あらかじめ医者と相談したり、その旨を設計者にしっかりと伝えることが大切です。

室内の空気にも気をつけて

室内の空気にも気をつけて

アレルギーや喘息の原因とされるダニ・カビなどの発生も、「通気性」の問題から起こることがほとんどです。
市街地など、自然換気だけでは不十分な場合は、機械による換気システムを導入するとよいでしょう。
24時間新鮮な空気を供給できるので、空気汚染による疾患などの不安が軽減されます。

子どもの目線に立ってみる

室内の環境もさることながら、安全性についても十分に検討しておきましょう。
特に子どもが小さい時は、小さなところで大きなケガにつながる場合もあります。
住まいの計画を立てる際には、子どもの目線で考えてみることが大切です。
目の高さに家具や棚などの角がないか、バルコニーの格子はくぐりぬけられるようなすき間がないかなど、徹底的にチェックしましょう。
そうすることで、子どもだけではなく住む人みんなにやさしいバリアフリー住宅にもなるのです。

住環境と子どもの成長との関連性

創造性を育てる工夫

子どもの創造性を育てるには、変化のある空間が望ましいと言われています。
例えば天井を勾配天井にしたり、ロフトを作るなど、空間の使い方にゆとりを加えてみることもお勧めです。
また階段下を遊び場として使うなど、子どもにとって面白いスペースをつくってみるのもよいでしょう。

色には頭の働きを活性化させたり、心理的・生理的影響がある

色が与える影響

昔ながらの和風住宅では、木や土壁など部材そのものの色を活かしていたため、色彩について計画を立てる必要はありませんでした。
このためか、日本人は色使いが下手だと言われています。

しかし実際、色には頭の働きを活性化させたり、心理的・生理的影響があることがわかっています。
また、好き嫌いもあるので配色計画はなかなか難しいものです。

基本的には、子どもの好きな色をベースに考えるのがよいのですが、強い色を好む場合はアクセントカラーなどに抑えるのがベスト。
居心地のよい部屋にするための配色としては、暖かい感じの色を使用するのがいいでしょう。
調和のとれた色彩でも、色数が多くなるとうるさくなってしまうため、2~3色程度にまとめます。

子どもは成長とともに寒色系を好む傾向にあると言われますので、カーテンや家具などの色も考慮して、その時々に応じた配色を心がけたいものです。

子どもの成長に合わせた住まい性

子ども部屋の用途はさまざま

インテリアを考える際「その部屋は何をする部屋か」を考えますが、子ども部屋に限っては様々な用途があります。
勉強したり、着替えたり、音楽を聴いたり、友達を招いたり…。
つまり限られたスペースの中で、全ての要求を満たすようにしなければならないのです。

もちろん、子どもが小さいときは専用の机や椅子などは不要でしょうし、寝る時は両親と一緒というケースも考えられます。
成長するにつれ勉強机やタンス、本棚やベッドが必要になり、家具のレイアウトも考慮しなければならなくなります。

家具はフレキシブルに

家具はフレキシブルに

ベッドや机などは最初から立派なものを与えるより、成長の過程においてそれぞれ自分のセンスで模様替えできるよう軽くて、簡易なものがお勧めです。
収納スペースについても、作り付けの家具やタンスだけにこだわらず、後から増やしたり組み替えたりできるユニット家具を置いてみましょう。
子どもが自分の部屋としてレイアウトしやすいだけでなく、部屋を考える、片づけるといった習慣にもつながります。

可変性のある部屋づくり

成長の過程に対応できる部屋にするには、間取りを柔軟にしておくことが大切です。
例えば初めは壁をなるべく少なくし、可動式の間仕切りを取り入れてみるのもお勧めです。
またいずれ1つの部屋を2つに分けるのであれば、あらかじめドアは2つ用意しておくのもよいでしょう。
子どもはめまぐるしく成長し変化しますので、部屋づくりを考える際には、子どもの成長を見ながら、その時々で柔軟な対応ができることを念頭にプランニングしましょう。

子ども部屋に求めるもの

人は、生まれてから12歳くらいまでの生活環境で培われた価値観を、一生持ち続けるといわれています。
多くの人は「子ども部屋は子どもが寝る場所」と認識しがちですが、上記でも述べたように、住まい全体が子どもの成長に影響を与えるので、子ども部屋に求める機能も子どもの成長に応じて、ある程度考慮していくことをおすすめします。
そのうえで、リビングやダイニングなど家族の集まる場所が最も居心地よくなるような工夫をすることが望ましいでしょう。

子どもにしてみても、成長の過程ごとに自分の住まいに対する要求は変わってきます。
例えば幼児期の子どもはとにかくよく動きます。
好奇心のおもむくまま、動いたり跳ねたりよじ登ったりしますので、段差が少なく危険な物の少ない広い空間が望ましいでしょう。

学童期であれば、身の回りの物を自分で片付けることのできる場所や、友達と遊んだり勉強できる場所が必要かもしれません。
思春期になれば、一人になれる場所への関心も強くなるでしょう。
子ども部屋を考える際には、成長に合わせて自由に変えることのできる“空間”という感覚でプランニングすることをおすすめします。

子どもを孤立させない工夫

ま気配を感じる住まい

気配を感じる住まい

最近では子どもの「ひきこもり」がさまざまに取り上げられています。
一概に住まいの在り方が直結しているわけではありませんが、子ども部屋を与えた途端に、家族のコミュニケーションが分断されてしまうケースは多々あるようです。
子ども部屋のプランを立てる際には、家族が常にお互いの存在を感じられるような工夫を意識しましょう。

現代では働くミセスも増えており、子どもが誰もいない家に1人で帰ってくるというケースも多くなっています。
家族それぞれのライフスタイルを再度確認して、家にいるときは少しでも長くコミュニケーションが図れ、 プライベートな時間も大切に過ごせるという住まいにしたいものです。

各居室における工夫ももちろんですが、部屋間の仕切を少なくしてオープンな空間を増やしたり、スキップフロアなどの「つながり空間」を設けるなど、住まい全体の構成も大切になってきます。

キッチンを有効に活用する

料理中はなかなかかまってあげられず、子どもが寂しい思いをしていることもあります。
特に乳幼児期はどんな行動を取るかわかりませんので、危険も伴ってきます。

そこで、料理中でも目が届き、気軽に話しかけられるよう、対面キッチンにしたり、カウンター部分に子どもが座れる場所を設けるなどの工夫をしてみます。
また踏み台を使って一緒に流しに立ったり、配膳を手伝ってもらえるような動線の工夫も一案です。

また、ユーティリティやサービスルームを設けて上手に活用したいものです。
アイロン掛けや洗濯物をたたむ、という家事を子どもと一緒にできる空間にします。
なんとなく、収納スペースや納戸になりがちなスペースも、子ども用の机や棚を設けたりすることでコミュニケーションを図る有効な場所になります。

子ども部屋を孤立化させないために

部屋のつくりだけでなく、住まい全体の中でどこに子ども部屋を作るのか、といったプランニングはとても大切になってきます。
必ずリビングを通るプランにするなど、自然に顔を合わせられるような動線の工夫が必要です。
また、ドアの付け方もポイント。
部屋の中で子どもが何をしているかわからないということも多々あります。
子どもが小さいときはなるべく必要最低限のドアのみ設置したり、ドアの一部はガラス戸にする、小窓をつけるなどして、内部の様子を伺える工夫をしたいものです。