ひとり親世帯(母子家庭・父子家庭)向け
「児童手当」「児童扶養手当」「児童育成手当」を解説!
国は児童が育成される家庭の生活の安定と次代の社会を担う児童の健やかな成長を目的に「児童手当」を支給しています。
また、2019年の全国家計構造調査(総務省統計局)によると、ひとり親世帯(母子家庭)の実収入は夫婦と子どもがいる世帯の約1/2にとどまり、消費支出では「住居」への支出割合が2倍強となっています。
こうしたことから、国はひとり親世帯に対する「児童扶養手当」も支給しており、平成22年度からは父子家庭も対象とされました。
さらに、東京都ではひとり親世帯に対する「児童育成手当」も支給しています。
ここではそれぞれの概要について解説していきます。
※制度・対象範囲は変更される場合がありますので、詳しくはお住いの各市区町村窓口へお問合せください。
各種手当の概要
児童手当(国)
支給対象
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方
支給額
児童の年齢 | 児童手当の額 (一人あたり月額) |
---|---|
3歳未満 | 一律15,000円 |
3歳以上 小学校修了前 |
10,000円 (第3子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
支払期月
毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当を支給します。
児童手当制度では、以下のルールが適用されます
- 原則として、児童が日本国内に住んでいる場合に支給します(留学のために海外に住んでいて一定の要件を満たす場合は支給対象になります)。
- 父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給します。
- 父母が海外に住んでいる場合、その父母が、日本国内で児童を養育している方を指定すれば、その方(父母指定者)に支給します。
- 児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給します。
- 児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給します。
該当する方は、現況届の提出が必要となります(現況届の提出が必要な方)
- 住民基本台帳上で住所を把握できない、法人である未成年後見人
- 離婚協議中で配偶者と別居されている方
- 配偶者からの暴力等により、住民票の住所地と異なる市区町村で受給している方
- 支給要件児童の戸籍がない方
- 施設等受給者
- その他、市区町村から提出の案内があった方
※現況届は、毎年6月1日の状況を把握し、6月分以降の児童手当等を引き続き受ける要件(児童の監督や保護、生計同一関係など)を満たしているかどうかを確認するためのものです。現況届の提出がない場合には、6月分以降の手当が受けられなくなりますので、ご注意ください。
※ひとり親世帯の場合で条件を満たしてい要る場合、養育費・生活費を受け取っていたとしても子どもと同居している方が児童手当を受給できます。
児童扶養手当(国)
支給対象
下記のいずれかの状態にある18歳に到達した年度末までの児童(中度以上の障がいの状態にある20歳未満の児童を含む)を養育している方に支給されます。所得制限があります。
- 父母が婚姻解消
- 父または母が死亡
- 父または母が重度の障がい
- 父または母が生死不明
- 父または母が児童を引き続き1年以上遺棄している
- 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた(平成24年8月から)
- 父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている
- 母が婚姻によらないで出生した児童
1人目の児童 | 2人目の児童 | 3人目以降の児童 | |
---|---|---|---|
全部支給 | 44.140円 | 10,420円 | 6,250円 |
一部支給 | 10,410円から 44,130円 |
5,210円から 10,410円 |
3,130円から 6,240円 |
扶養親族の数 | 本人(全部支給) | 本人(一部支給) | 配偶者及び扶養義務者 |
---|---|---|---|
0人 | 490,000円 | 1,920,000円 | 2,360,000円 |
1人 | 870,000円 | 2,300,000円 | 2,740,000円 |
2人 | 1,250,000円 | 2,680,000円 | 3,120,000円 |
3人 | 1,630,000円 | 3,060,000円 | 3,500,000円 |
4人 | 2,010,000円 | 3,440,000円 | 3,880,000円 |
5人 | 2,390,000円 | 3,820,000円 | 4,260,000円 |
※受給者の所得制限のほか同居の扶養義務者についても所得制限が設けられています。また、養育費を受け取っている場合はその8割が受給者の所得として算入されます。
対象とする所得の計算方法
対象とする所得=
収入-給与所得控除(営業収入等は必要経費)-8万円-各種控除+養育費(8割相当額)
各種控除の金額は、下記のとおりです。
障害者控除 | 270,000円 | 雑損控除 | 住民税で控除された額 (控除額は人によって異なります) |
---|---|---|---|
特別障害者 控除 | 400,000円 | 医療費控除 | 住民税で控除された額 (控除額は人によって異なります) |
寡婦控除 (注釈) | 270,000円 | 小規模企業共済等 掛金控除 | 住民税で控除された額 (控除額は人によって異なります) |
ひとり親控除 (注釈) | 350,000円 | 配偶者特別控除 | 住民税で控除された額 (控除額は人によって異なります) |
勤労学生控除 | 270,000円 |
給与所得又は雑所得 (公的年金等に係るものに 限る)がある場合 (合計額が10万円に 満たない場合はその額) |
最大100,000円 |
注)婚姻歴の有無や性別にかかわらず、生計を一にする子(前年の総所得金額等が48万円以下)を有する単身者の方は、「ひとり親控除」が適用されます。
注)ひとり親に該当しない寡婦については、引き続き寡婦控除として、控除額26万円(所得税の場合は27万円)が適用され、子以外の扶養親族を持つ寡婦について、所得制限(所得500万円以下)が設けられます。
※障害基礎年金等を受給しているひとり親のご家庭の皆さまは、令和3年3月分(令和3年5月支払い)から手当額の算出方法と支給制限に関する所得の算定方法が変更されます。
参照:こども家庭庁児童扶養手当を受給されている皆様へ
※「児童扶養手当」と「公的年金等」の 両方を受給する場合は、手続きが必要となります。
参照:こども家庭庁児童扶養手当を受給されている皆様へ
※受給者または児童が公的年金を受給する場合、手当額から年金額を差引いて支給する併給制限もあります。(手当の額より年金の額が高いときは、手当は支給されません。)
支払期月
1月、3月、5月、7月、9月、11月
手当の支給主体
市及び福祉事務所設置町村
児童育成手当(東京都)
支給対象
18歳到達後最初の3月31日までの間にある児童を養育しているひとり親家庭等に支給される手当で児童扶養手当と併用する事が可能な制度となります。
保護者の所得制限がありますのでご注意ください。
※所得制限度額は「児童扶養手当」よりも高く設定されています。対象は受給者のみで、同居の扶養義務者の所得制限や養育費の所得算入、年金受給による手当額の併給制限はありません。
- 父母が婚姻解消
- 父または母が死亡
- 父または母が重度の障がい
- 父または母が生死不明
- 父または母が児童を引き続き1年以上遺棄している
- 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた(平成24年8月から)
- 父または母が法令により引き続き1年以上拘禁されている
- 母が婚姻によらないで出生した児童
所得制限額
扶養親族等の数 | 所得制限限度額 |
---|---|
0人 | 3,604,000円 |
1人 | 3,984,000円 |
2人 | 4,364,000円 |
3人 | 4,744,000円 |
4人以上 | 1人増すごとに38万円を加算 |
注)所得が所得制限限度額以上の場合、児童育成手当は支給されません。
育成手当
1人月額 13,500円
支払期月
2月、6月、10月
手当の支給主体
市及び福祉事務所設置町村
特別児童扶養手当(国)
支給対象
20歳未満で精神又は身体に障害を有する児童を家庭で監護、養育している父母等に支給されます。
所得制限額
受給資格者(障害児の父母等)もしくはその配偶者又は生計を同じくする扶養義務者(同居する父母等の民法に定める者)の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。
扶 養 親族等 の 数 | 受給資格者 本 人 | 受 給 資 格 者 の 配偶者及び扶養義務者 | ||
---|---|---|---|---|
所得額 (※1) | 参考: 収入額の 目安(※2) | 所得額 (※1) | 参考: 収入額の 目安(※2) | |
0 | 4,596,000 | 6,420,000 | 6,287,000 | 8,319,000 |
1 | 4,976,000 | 6,862,000 | 6,536,000 | 8,586,000 |
2 | 5,356,000 | 7,284,000 | 6,749,000 | 8,799,000 |
3 | 5,736,000 | 7,707,000 | 6,962,000 | 9,012,000 |
4 | 6,116,000 | 8,129,000 | 7,175,000 | 9,225,000 |
5 | 6,496,000 | 8,546,000 | 7,388,000 | 9,438,000 |
育成手当
1級 52,400円
2級 34,900円
支払期月
原則として毎年4月、8月、12月に、それぞれの前月分までが支給されます。
手当の支給主体
住所地の市区町村の窓口
ひとり親家庭は、子育てと生計の維持を一人で担っていることから、さまざまな困難をともなう場合があります。
国は「子育て・生活支援策」、「就業支援策」、「養育費の確保策」、「経済的支援策」の4つの支援を行っています。
また、令和5年(2023)4月1日にはこども家庭庁が発足し、今後さまざまな意見を取り入れていく方針が示されていますので新たな動きにも注目することが大切です。
- 公開日
- 2023/5/1
- 調 査
- アドパークコミュニケーションズ 不動産情報事業部
- 監 修
- 日本住環境評価センター株式会社