入門編:不動産投資への招待状 - 住まいのマネーABC|住まいのお金に関するお役立ち情報

住まいと暮らしの AtoZ 住まいのマネーABC 入門編:不動産投資への招待状

収益不動産が注目されるわけ

収益不動産が注目されるわけ

不動産投資市場が活発です。なかでもワンルームマンション投資やアパート経営を目的とした収益不動産が注目されています。
バブル時代の不動産投資といえば、購入した不動産価格の将来の値上がり、すなわち売却益(キャピタルゲイン)を期待するものが中心でした。

しかし、現在では購入した投資物件を賃貸して得られる家賃収入、つまり運用益(インカムゲイン)を重視する不動産投資が主流となっています。

高利回りが期待できる

超低金利が長く続いている現状では、預貯金の金利はほとんどつきません。つまり、金融商品では、良好な資産運用が難しいのです。
不動産は、バブル崩壊後価格が急激に低下した反面、賃料相場は比較的安定しています。

そのため、投資額に対する賃料収入の割合が高くなり、不動産投資においては年5-9%程度の利回りが期待できるのです。ペイオフ対策としても、ある程度の効果は期待できます。

ゆとりある老後のための私的年金

公的年金が話題となっています。多くの方が現在の年金システムに不安を感じていますが、公的年金を補完する私的年金の財源として不動産投資は有効です。

毎月安定した家賃収入が手に入り、私的年金としてゆとりある老後の生活資金にできるからです。

高額所得者には節税対策にも有効

高額所得者には節税対策にも有効

不動産投資では、家賃収入は不動産所得となるため、給与所得等とは別に申告します。
この際、建物の減価償却費やローン金利、さらには管理費・固定資産税などの必要経費が認められます。

減価償却費は実際の支出を伴いませんが、経費に算入することができ、必要経費が家賃収入より大きければ、不動産所得は赤字になり、赤字部分は損益通算として給与所得から差し引くことができるため、所得税・住民税の節税をすることができます。

生命保険の代替効果

投資用不動産の購入にあたってローンを利用すると、通常、団体信用生命保険に加入することになります。
ローン返済中、万一の死亡や高度障害になった場合でもローンの残債は保険で支払われます。

したがって、ご家族には債務のないマンション等が残され、月々安定した家賃収入を受け取ることができます。また売却することでまとまった金額を得ることも可能です。

相続税が発生する時には、相続対策にもなる

相続税が発生する場合、現預金や株式は原則時価に対して課税されますが、不動産は評価額に対して課税されます。
建物は購入価格のおおよそ50%、土地部分は公示価格のおおよそ80%が評価額となっています。
賃貸物件の場合はさらに20-30%評価額を下げることができるので、不動産投資は有効な相続税対策の一つであると言えます。

まずは幅広く情報の収集を

ローン金利、現在価値等の考え方

ローン金利、現在価値等の考え方

投資用不動産を購入しようと一度決めると、誰でもつい気持ちがはやるものです。しかし、ここはじっくりと腰を据えて情報収集から始めましょう。
とはいえ、どのような情報をどういった方法で集めればよいのでしょうか?

不動産投資に関する情報収集

まずは、これから始めようとしている不動産投資に関する基本情報から集めましょう。
情報収集の方法としては、今ならば不動産投資関連の書籍が最適と思われます。セールスサイドの書いたもの、プロの書いたもの、サラリーマンの体験談、など多種多様な不動産投資の情報が手軽に得られるからです。

ある程度大きい本屋へ行けば、不動産投資関連の書籍が10冊-20冊程度は置いてあるはずです。その中から、タイトル・目次・著者のプロフィールや内容を参考に、5冊程度購入してみてください。
実際に読んでみると、それぞれ違った観点から書かれているため、ご自身の不動産投資の目的に適うもの、プロの知恵や体験談としての成功例・失敗例など貴重な情報源であることがわかるはずです。
特に、失敗例は不動産投資にもデメリット(リスク)があるという教訓を学ぶことができます。

また、最近はインターネットの個人のホームページで、不動産投資に関する自らの体験談を公開している方が増えてきていますので、参考にすると良いでしょう。

収益不動産物件に関する情報収集

収益不動産物件に関する情報収集

当然のことながら、物件に関する情報も必要です。情報源としては、新聞広告、折り込みチラシ、住宅情報誌、インターネットの『住宅検索サイト』などがあります。

特に、最近のインターネットの『住宅検索サイト』は充実しているのでおすすめです。もちろん、実際に不動産業者と会って話をすることも必要だと思います。

もし、普段から仲良くしている不動産業者がいる場合は、思わぬ掘り出し物を紹介してくれるかもしれません。ご自身の考えている希望エリア、物件のタイプ、価格などの情報を可能な限り集めましょう。

そして、大切なことは、パンフレットやチラシ・インターネットなどの資料・情報の内容をご自身の目で確かめてみることです。

現場に行って現物を確認して下さい。生の情報に勝るものはありません。現物を見ることで、なぜ価格が高いのか、なぜ人気があるのかなどの理由が実感できます。
いろいろな物件を見ること で自然と目が肥えてきます。

情報収集が必要な理由

情報収集が必要な理由

不動産投資は、数々のメリットがあり魅力的には違いありません。
しかし、あくまでも投資ですからデメリット(リスク)もあります。例えば、入居者がいなくて家賃が入らない、すぐに現金化できない、不動産の値下がり、などです。

不動産投資は、失敗すればあなたやご家族の人生を大きく左右することになります。
ですから、不動産投資に関する専門家の知識・知恵を吸収したり、体験談の成功例・失敗例に学んだり、購入予定物件の精査をするといった事前の情報収集はとても大切です。

決して、本を読むことや、現場に行って現物を見るという作業を惜しまないでください。十分な知識武装をして、不動産投資に取り組んでいただきたいと思います。

必ず役に立つファイナンスの知識

不動産投資において、知っておくと役立つ財務上の知識がありますのでご紹介します。

不動産投資における利回りとは?

不動産投資でよく使われる“利回り○%”というのは、通常は年間の家賃収入を物件価格で割った「表面利回り」のことです。
具体的に購入を検討される場合には「表面利回り」ではなく、建物の修繕、維持管理に必要な諸経費や購入時に必要な諸経費も含めて計算をした、「実質利回り」で運用プランを検討する必要があります。

例えば、年間家賃収入100万円、物件価格2,000万円、購入時費用100万円、年間諸経費25万円の場合、

表面利回り
100万円÷2,000万円×100=5.0%
実質利回り
(100万円-25万円)÷(2,000万円+100万円)×100=約3.6%

となります。

ローンの利用に関して

収益不動産も投資商品ですから、全額自己資金で考えるのが原則です。しかし、積極的にローンを組むことにより、レバレッジ(てこ)効果を得ることができます。

全額自己資金
自己資金1,000万円で物件を購入、利回り8%の場合の年間収益は
1,000万円×8%=80万円

ローン利用
自己資金1,000万円+ローン3,000万円を組んで4,000万円の物件を購入、融資期間30年・金利3%、利回り8%の場合の年間収益は、
4,000万円×8% - 約150万円(ローン返済額)=170万円

と、少ない自己資金でも「てこ」のように大きな効果が得られます。

現在、金利は上昇傾向ですが、利回りよりもある程度低い金利で調達できるのであれば、利用価値はあります。
ただし、利回りの低下、金利上昇(変動金利の場合)などのリスクを考えると、あまりに借り入れが多いのも問題です。通常は、自己資金の目安は30%と考えてください。したがって、自己資金の3-4倍の予算であれば健全な投資だと言えるでしょう。

不動産投資において利用したローンの金利部分は、不動産所得の計算上経費として計上ができます。計上できる経費部分は、金利が高ければ多くなるので、その分所得が減少し、税務上有利になると言われています。

しかし、現金収支の流れ(キャッシュフロー)でみると、ローン金利が高ければ、返済額が大きくなることを見落としてはいけません。
金利動向にもよりますが、ローンを利用する場合は、基本的には長期の固定金利ローンを選択してください。

また、変動金利を選択する場合は、4-5%の高めの金利を使って返済シミュレーションをしてください。
この点については、ファイナンシャル・プランナーや不動産コンサルタントなどの専門家へご相談することをおすすめします。また、ローンの返済期間をなるべく短くすることも重要です。

売買予想額

売買予想額

不動産投資は、売却して初めて利益が確定します。たとえ売却するつもりがなくても、数年後の売却額を予想することはとても重要です。
不動産投資では、ある一定期間の後、売却することを前提とした不動産評価の方法があります。

DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法と呼ばれる評価方法です。一定の期間(例えば10年間)の収益予想合計と予想売却価格の総和を、現在の物件価格と比較するのです。
その際に、将来の売却価格と将来の収益額は現在の価値に計算し直します。この計算結果は、売り出し価格が投資に見合う適正額かどうかの判断材料となります。

不動産投資とインフレの深い関係

現在の日本は、デフレの世の中と言われています。このままずっとデフレが続くのではないか、という人もいます。
しかし、過去に永遠に続くデフレを人類は経験していません。いつまでも続くと思われたデフレもやがては終わりを告げ、経済状況が変化して「インフレ」へと転じるでしょう。

投資とインフレの関係

投資とインフレの関係

現金1万円をただ持っていても、何ら収益を生み出しません。日常の消費行動によりその額を減らしていくだけです。
その現金1万円を何らかの収益を生み出す形に換えること、それを投資(行為)といいます。

では、なぜ投資が必要なのでしょう?その理由の一つに、「インフレに備えるため」ということが挙げられるでしょう。

私たちが生活している資本主義経済の下では、全ての人が少しでも良い生活をしたいと考えます。
その結果、経済は成長・拡大していきます。そして最終的には物価の上昇につながり、「インフレ」となります。

ある程度の「インフレ」は必要と言われていますが、冒頭の例のように現金で1万円を持ち続けていると、この「インフレ」によって、今まで1万円で買えたものが買えなくなってしまうのです。

インフレ対策としての投資設計

インフレ対策としての投資設計

人間の歴史はインフレの歴史といわれます。今後10年-20年、30年と生活をしていくわけですから、インフレに対する強い体質が求められます。
一般に、現金・預貯金は、インフレに弱いとされています。それは、インフレになると相対的に物の価値が上がり、現金・預貯金の価値が下がるからです。
他の金融資産の場合、株はある程度インフレに強いとされ、今人気の国債などの債券は、変動金利のものを除いてインフレに弱い体質です。

一方、不動産は、インフレ時には価格・賃料ともに上昇する傾向があり、資産価値が増加するため、「不動産」という現物を保有する不動産投資は、インフレには比較的強いのです。
不動産投資は、インフレ対策、とくに10-20年の長期インフレ対策に有効といえます。

72の法則

あまり馴染みがないかもしれませんが、72の法則は投資の世界ではよく使われる法則です。大まかな目安ですが、これを活用すると、手元資金を2倍にするための年数と利回り(金利)が計算できます。

例えば、手元資金100万円で、年利回り4%の国債を購入して2倍の200万円にするには...
  72÷4=18
となり、18年間かかるということになります。

この法則は、インフレの結果検証にも応用できます。もし、対前年比3%のインフレが24年続けば、物の値段は24年後には2倍(価値は半分)になっている(3×24=72)ことになります。

ここは外せない、物件選びのポイント

ここは外せない、物件選びのポイント

一口に収益不動産を購入すると言っても、その目的は人それぞれ、千差万別です。それぞれの目的によって、収益の目標も異なり、物件の選び方の基準も変わってきます。
ここでは一般論として、ワンルームマンション投資を前提とした物件選びのポイントをいくつか挙げておきます。

立地条件が整っている

収益不動産物件の良し悪しは、立地条件でほとんど決まると思われます。特に、交通機関の利便性は最重要です。もちろん、買い物など日常生活の利便性や公共施設や医療施設の充実といった、周囲の環境の良さも大切です。

外観(デザイン)が優れていること

外観(デザイン)が優れていること 外観(デザイン)が優れていること

収益不動産に投資するわけですから、借り手がいなければ家賃収入は入ってきません。借り手に「ここに住みたい」と思わせる、極めて大きな要因は「外観」です。
チェックポイントとしては、玄関周りや建物のきれいさ、メールボックス(見落としやすいですが、ここが乱れていると敬遠されます!)、駐輪場・ごみ集積場の状態、などがあります。

長期修繕計画がきちんと立てられているか

マンションが、時の経過によって風化していくことは避けられません。そこで、長期的な修繕計画が重要になります。
劣化を防止するための補修をしっかり行っているか、付加価値をつけるべく努力しているかということが、数十年後に大きな差となってくるのです。

安全性への配慮

最近はとくにセキュリティが重要になってきています。治安の悪化が問題となっていますので、防犯カメラ、オートロック、センターライト、ダブルロックなど、どういったセキュリティ対策がなされているかチェックしてください。

設備仕様の充実

設備仕様の充実

インターネット対応、衛星放送・CATV受信システム、宅配ロッカーや、モニター付インターフォンなどの設備仕様は、借り手に対する大きなアピールポイントになります。

新耐震設計法以降の物件かどうか(昭和56年以降に建てられたかどうか)

阪神淡路大震災のとき、新耐震設計法による建物は無被害あるいは軽微な被害でした。

以上、とくに最近重視されているポイントを挙げてみました。しかし、これらの項目すべてを満たしている物件はなかなかないでしょうし、仮にあったとしてもかなりの高額のはずですから、個々の予算・目的等に応じた物件選びをしてください。

もちろん、新築物件と中古物件では、多少条件は異なってきます。また、他にも間取り、日照時間、構造など重要ポイントは多数あります。

そして、物件購入の前には必ず現地へ行ってご自身の目で、物件の確認(建物の内外とも)をしてください。

最低でも平日の昼間・夜間・日曜日の計3回は必要です。それぞれの時間帯で、その物件及び周囲の環境などの違った顔が見えてくるはずです。

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