フラット50が登場!
2009年6月4日より、長期優良住宅普及促進法が施行され、耐震性や耐久性にすぐれた長期優良住宅(200年住宅)の取得が政府によって押し進められています。
しかしながら長期優良住宅は、通常の住宅に比べ2割程度価格がアップすると言われており、購入層からしてみればなかなか手が出ないのが現実です。
そこで、購入者の返済負担を減らすために住宅金融支援機構が新設したのが、返済期間最大50年の“超”長期・固定型のローン「フラット50」です。
ローンの対象となるのは、長期優良住宅普及促進法で認定する長期優良住宅。借入限度額は購入額の60%ですが、フラット35と併用することで100%借り入れることも可能です。
「フラット50」のメリットとしては、月々の支払額を安く抑えることができるということ、また親子2代でのリレー返済も可能であることなどが挙げられます。
その一方で、借入期間が長期にわたることで総支払額が増えてしまうこと、また親子リレーにした場合、子供に将来の負担を強いてしまうなど、デメリットも少なくありません。
利用に際しては、まだまだ慎重に考える必要がありそうです。
- メリット
- 月々の支払額を抑えることができます。
- 申込人の年齢は、満44歳未満で完済時の年齢が満80歳未満となっていますが、親子リレー返済を利用される場合は、満44歳以上でも申し込みが可能です。
- ローン付きのまま売却することが1回限りで可能です。将来、金利が上昇した
タイミングで、低金利のローンが付いた家を売却することができるため、購入者
にとっては魅力的な物件として映ります。
- デメリット
- 借入期間が長期にわたるため、総支払額が増えてしまいます。
- フラット35に比べて、金利が高めに設定されています。
- 親子リレー返済にした場合、将来、子供に支払能力がないという可能性も
考えられます。また、大切な子供に負担を強いることになるのも否めません。
その他の新型住宅ローンも続々登場
長期優良住宅の普及にともない、新たな住宅ローンが続々と登場しています。長期優良住宅の購入を考えているのであれば、選択肢に加えてみてもいいかもしれません。
以下に、新型住宅ローンの代表を挙げてみます。
アシューマブルローン
別名を債務承継型ローンと言い、その名の通り、住宅の売却をする際に売主の住宅ローンが継承されるローンのことをいいます。 金利が上昇する局面において、売主の低金利をそのまま利用できるというメリットがあります。「フラット50」では、1回のみの継承ですが、アシューマブルローンの仕組みを取り入れています。
ホーム・エクイティ・ローン
住宅の資産価値から、住宅ローン残高を差し引いたあとの正味価値を担保にして、生活資金などを融資するローンです。借入金の使途は制限されておらず、子供の教育や結婚資金、車の購入代金などに充てることができます。
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(例)
自宅の評価額3000万円-住宅ローンの残高2000万円=正味価値1000万円
この1000万円を限度額として、ローンを組むことができます。
過去最大規模の住宅ローン控除がスタート!
2009年度の税制改正により、住宅ローン控除が過去最大の600万円の規模に拡充されました。
そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを通じて家を買った人を対象に、年末ローン残高に控除率をかけた金額を一定期間にわたって所得税額から差し引くという制度です。
不況時の景気刺激対策として設けられており、景気が回復に向かうと見られていた2008年度は最大控除額が160万円、そしてそのまま年度内に制度は廃止される見込みでした。
ところが08年後半に、リーマンショックによる世界的な金融不安や大型倒産などが相次いだため、政府・与党から大幅な改正案が出され、適用期間を5年延長。過去最大級の住宅ローン控除が実現したのです。
では、実際にどんな恩恵が受けられるのでしょうか? さっそく控除の内容を見ていきましょう。
2009年度 住宅ローン控除のポイント
住宅の資産価値から、住宅ローン残高を差し引いたあとの正味価値を担保にして、生活資金などを融資するローンです。借入金の使途は制限されておらず、子供の教育や結婚資金、車の購入代金などに充てることができます。
控除期間は10年間、長期優良住宅であれば最大600万円の控除、一般住宅であれば最大500万円の控除が受けられます。ただし、対象となるローンの年末残高の上限や控除率はだんだん縮小されるので注意が必要です。
入居年による控除率と最大控除額の違い
また、一般住宅で最大500万円と言っても、誰もがそんなに多額の控除を受けられるわけではありません。 戻ってくる税金は実際に払っている所得税を限度額としているため、10年間で最大500万円の控除を受けられる人は1年間で50万円以上の所得税や住民税を支払っていることになります。 また控除率は年末のローン残高の1%であるため、10年間ずっと年末のローン残高が5000万円以上なければ500万円の控除を受けることはできません。 したがって所得が高く、高額のローンを組んだ人ほど、控除額は多くなるということになります。
2009年度の改正により、所得税から控除しきれない残額を、翌年度分の個人住民税から控除できるようになりました。 これにより、低所得者も住宅ローン控除の恩恵を受けやすくなったと言えます。ただし限度額は、所得税の課税総所得金額×5%、または9万7500円のいずれか低い額と定められています。
モーゲージバンクって何?
最近、新たな金融機関として注目されているものに「モーゲージバンク」があります。
モーゲージとは、英語で住宅抵当ローンのことを指し、モーゲージバンクとは住宅ローンを専門に取り扱う金融機関のことを言います。
日本では、主に住宅金融支援機構のローン商品「フラット35」を取り扱っている金融機関をモーゲージバンクと呼んでいます。
銀行は預金を原資にして住宅ローンを運用するのに対し、モーゲージバンクは預金による原資を持ちません。
モーゲージバンクは、住宅ローンを証券化して機関投資家からお金を集め、そのお金を住宅ローンとして貸し出します。
そして出資した機関投資家には、ローンの返済金が支払われることになります。
モーゲージバングのメリットとしては、銀行に比べて人件費などがかからないために金利が低く設定しやすいこと。
そして、住宅・不動産会社がモーゲージバンクを子会社として抱えていることが多いため、住宅購入とローンが同じ窓口で手続きできる場合があるということなどが挙げられます。
新たな資格、住宅ローンアドバイザー
商品の多様化や制度の改正により、住宅ローンはますます複雑化。住宅購入を考えている人からは、「選択肢が多すぎて何を選んでいいのか分からない!」という意見も聞こえています。 そんな中、住宅購入者に適切なアドバイスをするべく設立されたのが、(財)住宅金融普及協会が認定する住宅ローンアドバイザーという資格制度です。 住宅ローンアドバイザーの主な仕事は、公正な立場から様々な住宅ローンの情報や知識を提供してアドバイスを行うこと、そして利用者にとって最も適切なローンの成約をサポートすることです。 2009年度の税制改正によって、にわかに不動産購入を考える人が増えている今、注目度が高い資格と言えます。
ちなみに住宅ローンアドバイザーになるには、同協会が設置した「住宅ローンアドバイザー養成講座」の「基礎編」「応用編」の両方を受講し、効果測定で一定水準を満たす必要があります。 その後、同協会へ登録すれば協会認定の住宅ローンアドバイザーとなります。年齢や実務経験が問われないのも、この資格の魅力と言えそうです。